奉納刀と文化遺産

お供え物を奉納し、神に感謝する

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日本には、神仏に対する感謝や崇敬の気持ちを込めて、神社や寺にお供え物を奉納する文化があります。収穫を祝い豊作を祈願するため、収穫したばかりの米や作りたての酒を供える祭りが古くから行われてきました。形あるものだけでなく、舞や音楽なども奉納の一種です。 人々にとって価値のある物を神仏に捧げることが感謝の意であり、今後も幸運をもたらしてもらうための祈りでもあります。

刀は神仏に捧げるにふさわしい宝物

日本に刀が入ってきたのは弥生時代ごろで、中国の皇帝から日本を治める権力の証として授けられました。刀は武器ではなく、「宝物」として扱われていたのです。皇位のしるしとして歴代の天皇に伝わる宝物「三種の神器」にも、刀である草薙剣(くさなぎのつるぎ)が含まれています。草薙剣は、出雲を舞台とした神話に登場します。 刀は、光り輝く神秘的な宝物として、霊威を持つ神聖な物として、神仏に捧げるにふさわしい価値があると考えられてきました。ときには神そのものとして祀られています。

美しさを重視した奉納刀

奉納刀は、刀身が長大で、拵も儀礼用のものが多くあります。特に大きい奉納刀として有名な「彌彦神社(やひこじんじゃ:新潟県)」が所蔵する重要文化財「志田大太刀(しだのおおたち)」は、刃長220.4cmで総長322.2㎝。「日光二荒山神社」(にっこうふたらさんじんじゃ:栃木県)が所蔵する重要文化財「祢々切丸」(ねねきりまる)は、刃長216.6cmで総長324.1㎝。奉納刀は実戦で使用されることがないため、使い勝手や重さは関係ありません。美しさを重視して、刀工が思い描く格好良い長さの刀剣が作刀され、奉納されてきました。贅沢で美麗な拵が付けられていることもあります。
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